作家たちが最後の晩餐に選んだものは | オカヤイヅミ『おあとがよろしいようで』

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ねこじた
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こんにちは、ねこじたです!

オカヤイヅミさんのコミックエッセイ『おあとがよろしいようで』を読みました。

15人もの小説家・歌人・コラムニスト・評論家さんたちに「死ぬ前に食べたいものはなんですか?」と尋ね、実際に一緒に食べながら対談していくという内容です。

インタビューを受けた皆さん、回答はさまざまなのですが、ねこじたが特に気になったものをいくつか紹介したいと思います。

その1. 豆腐 (綿矢りささん、西加奈子さん)

登場する「最後に食べたいもの」のなかで、唯一かぶっていたのが、綿矢りささん西加奈子さんが共に挙げた「豆腐」です。

綿矢さんは「死ぬのが怖くて食欲がなくなりそうだから」、西さんは「小説と同じで(!)豆腐も飽きが来なくてずっと食べられるから」というのが選んだ理由。

対談のなかで、インタビュイーそれぞれの死生観や仕事に対する考え方も語られるのですが、「豆腐」を選んだお二人は、共に「死ぬのが怖い」寄りの印象があったのも共通点でした。

特に西さんは「パーッと死にたないねん」「死ぬのほんま怖いから事前に知りたない」ということで、確かにパーッと豪華なものを食べて死ぬって死刑囚最後の食事みたいで、私だったら味しないかもなーとなりました。この辺に性格の違いが出てきそう。

ちなみに死ぬのあんまり怖くなさそうな人もいて、何度も死にかけるような目にあっているという戌井昭人さんは「パーンと乾いた死に方がいいな」とカラッと語っておられました。つ、強い……。

2. 極道すきやき

宇野千代著『私の作ったお惣菜』に出てくるという「極道すきやき」を挙げたのは円城塔さん。

ご、極道すきやき? なにそれ?

これ、作り方も普通のすき焼きとは違います。

  1. 大皿に牛肉を並べる
  2. ブランデーをかけ廻す
  3. 割り下をかけ廻す
  4. よく溶いた卵黄をたっぷりかける
  5. 焼く

気になるお味は「ふわふわ」「すごくおいしいけど、なんだこれ」「まったくハーモニーがない」「食べたらむしろ死なないのでは」「精力剤みたいな食べ物」ということで、うーむ、想像がつきません。。^^;

ある意味で、「死ぬ前に(一度は)食べてみたいもの」かもしれない……。

給湯室で、『文學界』編集部の方がIH調理器を使って焼いてくれたのですが、うまく動かず他のフロアからもIH調理器をかき集めてきたり、結局「フライパンがIH対応じゃないからですよ」と円城さんにツッコまれてフライパンを買いに走ったり、出版社の人も大変だぁ……と余計な感想を抱きました。

ハプニングがあっても企画は絶対成立させるぞという実行力、カッコいい。

3. ジビエ というか…

最後は村田沙耶香さんが挙げた「ジビエ」。

普段から仲良しという加藤千恵さんと一緒にインタビューに現れました。

ちなみに加藤千恵さんが最後に食べたいものは「アイスクリーム」。決めきれなくてこれまで食べたおいしいものをめちゃめちゃリストアップして考えたらしくて萌えました笑

村田さんの「ジビエ」は何かわかるなぁ……と思ってたら「実は人肉を食べてみたいらしい」と加藤さんにバラされた村田さん。

でも最近は大っぴらに言わないようにしているそうです。というのも、

いつか本当に食べるつもりだからもう言うのよそうと思って……

あ もちろん合法的に食べますよ

貴女が言うと冗談には聞こえません……!

ねこじた
ねこじた

そういえば地球星人でカニバリズム的な要素のあるシーンがあったな……

レオ
レオ

ねこじた、『カニバリズムという字面の想起させる悪趣味とは程遠い、どこか切実な神聖さを帯びた場面』とかなんとか感想書いてたニャ?

オカヤイヅミ『おあとがよろしいようで』について

他のインタビュイーたちの選んだ「最後に食べたいもの」もそれぞれに興味深く、すべてをご紹介しきれないのが残念です。

皆さんの「死ぬ前に食べたいもの」リスト

  • 綿矢りささん/豆腐
  • 戌井昭人さん/鉄火巻き
  • 山崎ナオコーラさん/「神田まつや」鍋焼きうどん
  • 津村記久子さん/「まい泉」ロースかつ膳
  • 円城塔さん/極道すきやき
  • 西加奈子さん/豆腐
  • 平山夢明さん/ちくわぶ
  • 桜庭一樹さん/白米
  • 朝井リョウさん/「洋麺屋五右衛門」スパゲッティー
  • 辛酸なめ子さん/いかめし
  • 村田沙耶香さん&加藤千恵さん/ジビエ&アイスクリーム
  • 朝吹真理子さん/点心
  • 春日太一さん/「鮨源」本店の寿司
  • 島田雅彦さん/「埼玉屋」モツ焼き

具体的なお店のメニューを挙げている方もちらほら。

個人的には「洋麺屋五右衛門に物申したい朝井リョウさん」とか「ちくわぶを布教する『全ちく連』を作りたいと目論む平山夢明さん」に笑いました。京極夏彦や岩井志麻子って、巻き込まれるメンバーが豪華すぎるだろー!

全体を通じて、小説家の皆さんは自分の最期を思うときに、どうしても小説のことを考えてしまう方が多い印象でした。

職業病というより、「死を目前にしても書かずにいられない人が小説家をやっている」のかもしれないなあ。

そういえば私がオカヤイヅミさんを知ったのは、漫画『ものするひと』を手に取ったのがきっかけでした。

純文学小説を書いて新人賞をとり、いわゆる「小説家」になった主人公の話。地味だけれど、どこか夢の中にいるような浮遊感のある日常が癖になります。ねこじたも純文学の新人賞に投稿を続けているので、「へえ〜、デビューしたあとの生活はこんな感じなのか〜」とひそかに思いながら読みました。

そのなかにこんなモノローグがあります。

賞をとったら?

雑誌に載ったら?

本を出したら?

生活できたら?

「職業/作家」ですか?

オカヤイヅミ『ものするひと 1』

これは、職業/作家というものの境界線のなさ、アイデンティティの曖昧さに対するモノローグですが、タイトル『ものするひと』の意味するところは、おそらく「ただ、書く人」。

それは、死ぬ直前まで、書いている小説の続きを考えつづけてしまうような魂のあり方を言っているのかもしれません。

「死ぬ前に食べたいもの」について考えるとき、自然と「そのとき誰といたいか」「何をしていたいか」にも考えが及びます。

自分は何者なのか——がわかるとは言えないまでも、少なくとも、自分の核にあるものがひとつふたつ、見えてくる問いなのかもしれません。

あなたの「死ぬ前に食べたいもの」は何ですか?

ねこじた
ねこじた

私は……あの頃の食卓をもう一度囲んでワイワイやりたいな……

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