おじいさんが猫のために作るポテト・スープ — テリー・ファリッシュ『ポテト・スープが大好きな猫』より

猫舌のはずの猫でも、こんな優しいスープなら食べられるのでしょうか。​

テリー・ファリッシュの絵本「ポテト・スープが大好きな猫」より、猫の大好物だという素朴で温かいスープをご紹介します。

この猫の好物は、おじいさんの作ってくれるポテト・スープでした。それもおじいさんが、この雌猫を気に入っている理由のひとつです。――テリー・ファリッシュ『ポテト・スープが大好きな猫』(村上春樹訳、講談社文庫)より

テキサスの田舎で静かに暮らすおじいさんと年老いた雌猫。

二人は毎日一緒に釣りに出かけますが、この猫は魚を捕るわけでもなく、ただ小舟に乗っているだけ。それでも、二人は互いに居心地の良い関係を築いていました。

そんなある日、おじいさんが買ってきた電気毛布が、二人の心地よいルーティンに小さな波紋を広げます。

本来、肉食であるはずの猫。猫舌だし、野菜のスープなんて興味を持ちそうにありません。

しかし、この猫を虜にするのは、豪華なメインディッシュではありません。おじいさんが芋の皮を剥き、丁寧に潰し、(そしてきっとちょうど良い温度に冷ました)『ポテト・スープ』なのです。

猫が飲みやすいよう浅い皿に注がれたスープは、きっとポタージュ状でしょう。乳糖に配慮するなら豆乳や少量の油脂でコクを出し、素材の甘みを引き出しているはずです。

挿絵を観察すると、おじいさんが使うのは素朴な道具ばかり。おじいさんの不器用な指先から伝わる愛情こそが、猫の嗅覚を刺激する最高のスパイスになっているに違いありません。​

互いの距離感を大切にし、自立した個として振る舞いながらも、温かなスープという絆で結ばれた一人と一匹。その関係性は、猫好きで知られる村上春樹氏があとがきで「こんな晩年を送るのもいい」と吐露するほど、静かで、深い充足感に満ちています。

心まで冷えるような夜には、誰かのために作る温かいスープが、何よりの特効薬になるのかもしれません。​

それではどうぞ、召し上がれ。

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